予防接種
肺炎球菌ワクチン
現在、肺炎は死因の第3位です(1位 悪性疾患、2位 心疾患)。高齢になると肺炎にかかりやすく、重症化しやすくなり、死亡者の95%以上を65歳以上の高齢者が占めています。
細菌性肺炎の中で30~40%は肺炎球菌が原因で、肺炎球菌性肺炎の頻度が最も高いうえに重症化しやすく、ここのところは抗菌薬が効きにくい菌(耐性菌)が増えてきています。
肺炎球菌肺炎にはワクチン(ニューモバックス®)は、肺炎球菌性肺炎の約80%に対して予防効果があることが示されています。
健康な成人であれば接種後2~3週間で効果が現れます。基礎疾患のために免疫力が低下した人には遅れる可能性があります。
では、肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス®)には、どれぐらいの予防効果があるのでしょうか?
Maruyama T BMJ 2010より
高齢者介護施設居住者を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対象比較試験の結果によると、肺炎球菌肺炎ワクチン(ニューモバックス®)の接種により、肺炎球菌肺炎の発症を63.8%減少させると報告されています。
Maruyama T BMJ 2010より
また、高齢者や慢性呼吸器疾患患者には、インフルエンザワクチンの接種と併用することにより、さらに有効であることも示されています。
肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス®)の接種対象者は以下の通りです。
- ① 65歳以上の高齢者
- ② 2~64歳で下記の慢性疾患やリスクを有する方
慢性心不全(うっ血性心不全、心筋症など)
慢性呼吸器疾患(COPDなど)
糖尿病
アルコール中毒
慢性肝疾患(肝硬変)
髄液漏 - ③ 脾摘をうけた人、脾機能不全の人
- ④ 老人施設や長期療養施設などの入所者
- ⑤ 易感染症患者
HIV感染者、白血病、ホジキン病、多発性骨髄腫、全身性の悪性腫瘍、慢性腎不全、ネフローゼ症候群、移植患者のように長期免疫抑制療法を受けている人、副腎皮質ステロイドの長期全身投与を受けている人
成人市中肺炎診療ガイドライン 日本呼吸器学会, 2007
65歳以上の方には自治体からの補助金の制度があります。当てはまる方は、ご相談ください。
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平成26年6月には、今まで小児のみに使用していた13価肺炎球菌結合型ワクチン(プレベナー®)が、65歳以上の成人に適応拡大されました。今後、ニューモバックス®とプレベナー®の使い方をめぐって臨床試験が進んでいきます。
平成26年11月に米国ACIP(Advisory Committee Immunization Practices)は、プレベナー®とニューモバックス®の連続接種により、肺炎球菌ワクチンの予防効果を増大、拡大させる可能性を期待して、両者の併用療法を推奨するようになりました。